京大卒・元Vリーガーのバレーボールとお金のつぶやき

バレーボールとお金の話を中心に思ったことつぶやきます。

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【ジャンプ×物理】最高到達点までの到達が早いっていうのはありえるのか?

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バレーボールは1セットに20回以上ジャンプするスポーツですが、当然ながら選手によってジャンプ力が異なります。 

 

試合を見てると最高到達点は同じなのに打つポイントまで早く到達するように見えるシーンがあったり、なかったりしますが、このようなことがありえるのかということを物理学的に検証してみたいと思います。

 

10年ぶりに物理を思い出しながら書くので、間違いがあったら指摘ください。

簡易的に考えるために空気抵抗は考慮していません。

 

 

 

速度と加速度を理解しよう

 

 ジャンプについてお話する前に速度と加速度というものがあることをなんとなく理解してもらえればと思います。

 

速度

速度とはみなさんご存じいわゆる「速さ」です。

自動車のハンドルの手元に表示される54km/hがまさにそれです。

ちなみにkm/hは「km(距離)÷h(時間)」という記載で、小学校の時に習った速さ=距離÷時間というのをコンパクトに表しています。

 

では小学校の復習ですが54km/hは何m/sでしょうか。

 

f:id:a0033004:20191110143644j:plain

 

コツとしては単位をあわせることです。

km=1000m

h=3600s(s=second(秒))

ですので、km/hをm/sに変更するとなると、

54km/h=54×1000m÷3600s=15m/s

となります。

 

加速度

自動車を運転するといきなり15m/sになるわけではありません。

0から15に徐々に上がっていきます。

その加速の度合いを「加速度」といいます。

 

速度は以下のように加速度と時間で計算されます。(加速度が同一の場合)

速度(m/s)=加速度(m/s2)×時間(s) + 初速度(m/s)(式①)

 

先ほどの車が初速度0m/sから15m/sになるまでに3秒かかったとすると

15m/s =加速度(m/s2) × 3s + 0m/s

となりますので、加速度は5m/s2となります。

 

重力について理解しよう

 

ジャンプした時に落下すること、月まで飛び続けられないことは当たり前ですが、それには重力が大きくかかわっています。

 

重力とは地面方向への加速度になります。

その値は9.8m/s2です。

 

 

では重力について知るために以下のような問いを考えてみましょう。

 

高さ39.2mからボールを落とした時に何秒後に地面に到達するでしょうか。

 

 

f:id:a0033004:20191110104258j:plain

 

先ほど速度と加速度の関係性はお示ししましたが、次は距離が出てきました。

この距離のことを物理学的には変位っていったりもします。

 

変位(m)は初速度(m/s)と加速度(m/s2)から以下のように計算できます。

 

変位(m)=初速度(m/s)×時間(s) + 加速度(m/s2)×時間(s)2(式②)

 

今回の問題で変位は高さ39.2mから地面(0m)までなので39.2m

ボールを投げ落とすわけではないので初速は0m/s

加速度は重力なので9.8m/s2となります。

 

こちらをあてはめると

39.2m=0m/s × 時間(s) + 9.8(m/s2) ×時間(s)2

時間(s)2=4(s2)

時間(s)=2s

 

つまり2秒ということになります。

 

 

では追加ですが地面に到達時の速度はいくつでしょうか。

 

速度を求める式は以下の通りでしたね。

速度(m/s)=加速度(m/s2)×時間(s) + 初速度(m/s)

 

こちらに加速度9.8m/s2、時間2s、初速度0m/sを入れると

 

地面にあたる時の速度=9.8m/s2 × 2s = 19.6m/s

 

 

ジャンプを検証しよう

 

前置きが長くなりましたが、ようやくジャンプの話です。

確認したい点は最高到達点までの時間ということでした。

 

まずは185㎝、指高240㎝、最高到達点340㎝の選手を例として挙げましょう。

ジャンプ力(変位)は最高到達点ー指高なので100㎝(1m)となります。

 

ジャンプする際には上向きの初速度が発生します。

ジャンプ中は下向きの重力という加速度-9.8m/s2をもちます。

(上向きをプラスとするため加速度にはマイナスがつきます)

 

そして重要なのが最高到達点では速度が0m/sになります。

 

重力という下向きの加速度が徐々に初速が落ちて行って最高到達点で速度が0になり、その後下向きの速度が発生し、落下していきます。

 

ちなみに上記式①と式②を組み合わせ、時間を消去すると以下のような式ができます。

(式①を時間=に変更し式②に代入する)

速度(m/s)2 ー 初速度(m/s)2 = 2× 加速度 × 変位(式③)

 

この式に以下の最高到達点での情報を入れていきましょう。

速度   0m/s

加速度 -9.8m/s2

変位   1m(ジャンプ力)

 

0m/s ー 初速度(m/s)2 = 2× (-9.8) × 1m

 

これから初速度は約4.5m/sと計算されます。

 

この初速度および最高到達点の情報を式①に入れると

速度 = 初速度 + 加速度 × 時間

0m/s = 4.5m/s  -9.8m/s2 × 時間

 

となり、最高到達点までの時間は約0.46秒と算出されます。

 

では仮に指高250㎝、最高到達点340㎝、ジャンプ力90㎝という場合も検証してみます。

式③

0 ー初速度2 =2×(-9.8)×0.90

初速度=4.2s

式①

0=4.2-9.8×時間

時間=約0.43s

となり、約0.43秒と算出されます。

 

つまり最高到達点が同じ場合ジャンプ力が小さい(指高が高い)方が到達点に達する時間が早いということですね。

 

そしてジャンプ力をあげるためには初速をあげることが必要ということですね。

 

なんとなくわかっていたことを改めて確認できたのではないのでしょうか。

そして物理ってこんなことに使えるんだってことを知って頂ければと思います。

 

 

 

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